1957年に幕を開けた宇宙時代。人類が最初にめざした大きなターゲットは月でした。1969年7月にアポロ11号の有人月面着陸はその夢をかなえ、人間の可能性と太陽系の科学に新たな展望を拓いたと言えます。そして今や月は、「往く時代」から「住む時代」になりつつあり、それとともに、月面の「安全に降りることのできる場所」に着陸する段階から、「難しくても降りたい場所」に着陸する時代へと脱皮することが求められています。2024年1月に、狙った場所への「ピンポイント着陸」を史上初めて成し遂げた日本の月探査機「SLIM(スリム)」は、今後の人類の月面活動に新しい光を与えました。その歴史的な経緯を振り返り、併せて近未来の月との格闘を一緒に思い描きましょう。