名前、人生、ケルト、ギリシャ、出雲、焼津……
小泉八雲をひもといて「妖怪」の真髄を識る
何故か心魅かれる「妖怪」という存在。その正体は?小泉八雲を繙くとその真髄が解る?!
この世ならぬ不思議な存在は、「妖怪」「変化(へんげ)」「幽霊」という三つのタイプに分類できます。
「変化」は、付喪神や化け狐など、ごくあたりまえの存在が、年月を経るなどして異形の存在に変化したもの。「幽霊」は、亡くなった人間が「かそけきみたま」となって、あの世から戻ってきたもの。では「妖怪」とは?
妖怪は、この世ならぬ恐ろしい存在にもかかわらず、江戸の昔から昭和、平成、令和に至っても、子供から大人まで、多くの人の心を惹きつけてやみません。否、江戸どころか、奈良・平安の昔、あるいはそのずっと以前から、日本人は恐がりながらも、魅惑の眼差しで見つめ続けてきました。
妖怪の正体とは、いったい何なのでしょうか?
いくつかの説をご紹介しながら、妖怪という存在の本質に迫ります。
そして、明治の日本において、近代化の波に揉み消されそうになった「妖怪」や「怪談」の灯を守ったひとりが小泉八雲という人物です。ケルトの文化に連なるアイルランド人を父に、古代以来の文明の地ギリシャ人を母にもつ彼の人生や名前を繙いていくと、実は「妖怪」の真髄が解る……そんなお話をいたします。
さらには、出雲と八雲、焼津と八雲。土地と人との相性が織りなす、摩訶不思議に「懐かしい」縁とは?