発声から言葉の表現まで
発声・セリフ・朗読・語りについてそれぞれの参加者の呼吸、声、体、性格に即してレッスンします。声の出にくい方、言葉の表現が苦手な方、初めての方も、言葉の表現の面白さにチャレンジしてみてください。各クラス内容は同じです。
<講座の進行>
・体の軸を整える、余計な力を抜く、ストレッチ、体への響きを重視した発声を通して、語りの準備をします。
・講師おすすめの作品を題材に、作品が伝えようとしている声に耳を傾け、日本語の音色・リズムといった音楽性を楽しみつつ、内容をしっかり腹で支える発声をしながら、朗々と語ります。
・おひとりおひとり、声に出していただき、講師が個別にアドバイスいたします。
<講座内容>
日常会話で思ったように人に伝わらないと感じたことがありませんか。
文学作品を人に読み聞かせることで、人に伝わる発声、発音を身につけて行きます。
「朝」という言葉をなぜ「あ」と「さ」という音で表現するのでしょうか。先人たちが積み上げて来た、日本語の音声としての豊かさをに気付き、その繊細なニュアンスを扱う術を学びます。
さらにその中で、自分の発声の癖や力みに気付き、それを克服し、自分が本来持っている声を見つけてゆく作業を行います。
また、優れた文学の、黙読では見過ごされてしまう音声としての魅力に出会う機会でもあります。
言葉そのものが求めてくる音色、それぞれ体のどこに響いている音なのか、どのような空間を持った音なのかを丹念に探ります。音と音の関係、単語と単語の関係、文節と文節の関係、文章と文章の関係はどのように展開しているのかを考え、その展開を音声として表現することに挑戦します。そのように身体を通して言葉と出会って行くことで、書かれている内容を発見して行く講座です。黙読を起点に解釈をする方法では気づけないことに出会えるはずです。
声の出にくい方、言葉の表現が苦手な方、初めての方も、言葉の表現の面白さにチャレンジしてみてください。
<指導の具体例>
・呼吸の向きを整える
・息漏れをしない、息をしっかり止めるなどの呼吸のコントロール
・呼吸による切り替え
・書かれている言葉の一字一句を機能させ、言葉で喋る
・聴く人や空間としっかり対峙する
・言葉で空間に描き出す
・「説明」ではなく「体験」させるための音の表現
講師おすすめの教材の例
・宮澤賢治作品
深い呼吸と広い音域が要求されます。言葉の音楽性に独特のユーモアがあり、声にすることによって初めてその魅力を知ったという声多数。
・樋口一葉作品
短歌のような掛詞や省略が生み出す言葉の美しさがあり、世話物ならではの繊細な音色の表現が要求されます。こちらも声にすることによって初めてその魅力を知ったという声多数。
・説経節「をぐり」
全身を使って腹の底からしっかり出す声を受け止めてくれる壮大な死と再生の物語。時代物の持つリズムとスケールに身を委ね真っ直ぐに声を出してゆくことから始めます。
・詩
解釈を音にするのではなく、言葉を身体で体験しながら詩の世界を感じてゆきます。難解だと思っていた詩が、頭ではないところでわかってきます。
教材選択の基準:情報伝達としての単なる書き言葉ではなく、声にした時に広がるイメージ、リズムや音色の面白さが書き込まれている。散文作品であっても詩的な簡潔、飛躍、省略などがあり、言葉同士の関係が緊密なため、音声でしっかり切り替え展開させた時にダイナミックな世界が現れる。
受講者からの作品の提案があった場合も、上記の観点で検討いたします。