更級日記をよむ
更級日記は、父の任国の上総国で過ごしていた作者が、13歳の時、上総国から上京する場面からはじまります。やがて結婚をし、宮仕えも経験し、いろいろな人との出会いと別れも経験します。更級日記は、53歳の折に夫を亡くし、その悲しみもまだ癒えないなか、自身の半生を回想して記されたものです。
少女時代、源氏物語の世界にあこがれ、ようやく手に入れた源氏物語を読みふける場面をはじめとして、みずみずしい感性によって回想された日々はきらきらと輝いています。
平安時代、中流貴族の娘として生まれ過ごした作者の半生は、平凡な日々であったといえるかもしれませんが、それこそがかけがえのない日々であったことに気づかせてくれます。
更級日記の作者について
更級日記は、菅原道真の子孫でもある菅原孝標の娘によって記された作品です。彼女の13歳のころから、58歳にて夫を亡くしたころまでの半生が回想されています。
菅原孝標の娘が生まれたのは1008年、ちょうど源氏物語が執筆されたころでもあります。更級日記では、源氏物語の世界への憧れが繰り返しつづられていますが、彼女が源氏物語の執筆されたころに生まれたというのも偶然ではないような気もします。ちなみに、更級日記の作者の母は、蜻蛉日記の作者の妹ですので、二つの日記の作者は伯母と姪の関係になります。更級日記と蜻蛉日記とはまったく性格の異なる作品ですが、やはり文才豊かな家系だということはいえようかと思います。
更級日記の内容
13歳の年、父の任国の上総国で過ごしていた作者が、上総から上京する場面からはじまります。やがて結婚をし、宮仕えも経験し、いろいろな人との出会いと別れも経験します。更級日記は、53歳の時に夫を亡くし、その悲しみもまだ癒えないなか、自身の半生を回想して記されたものと思われます。
少女時代、源氏物語の世界にあこがれて、ようやく手に入れた源氏物語を読みふける場面をはじめとして、みずみずしい感性によって回想された日々はきらきらと輝いています。
平安時代、中流貴族の娘として生まれ過ごした作者の半生は、平凡な日々であったといえるかもしれませんが、それこそがかけがえのない日々であったことに気づかせてくれます。
かけがえのない日々の記録を原文でよむ
平凡な日々といっても、それは私たち誰にとってもかけがえのない日々です。本講座では、更級日記を原文で読むことを通して、更級日記につづられた、一見ささやかな日々のできごとやその折の作者の思いにふれていただきたいと思います。ほぼ一千年前につづられた更級日記ですが、その魅力は今の私たちにも色あせることなく伝わることでしょう。どうぞごいっしょに更級日記の世界をのぞいてみませんか。
紫式部集は、紫式部の自撰と考えられており、前半と後半とに大きく分けることができます。
前半は、娘時代の友との再会や別離、越前への旅、夫との結婚生活、夫の死を悼む歌が並べられ、
後半は、紫式部が中宮彰子のもとに女房として出仕してからで、公的な行事の折の歌にまじって、自身の内面を見つめた、憂愁に満ちた歌も多くあります。
紫式部集に収められた歌は、贈答歌を含めても百首あまりですが、紫式部の心の声がそのまま表現されており、興味は尽きません。
栄華のただなかに身を置きながら、紫式部は何を思い、何を見つめていたのか、紫式部の心のなかをのぞいてみませんか