親からの愛・親への愛
『万葉集』は、奈良時代に編纂された日本最古の歌集であり、約4500首におよぶ和歌が収められています。その多様性は圧倒的で、天皇から都の官人、東国の人や遊行婦人など、身分を超えたさまざまな人々の心情が和歌の形式によって記されています。
この講座では、後代の勅撰集では焦点化されることのない「親子の愛」をテーマとする歌を読解しながら、万葉集の特徴や当時の社会制度について学びます。
万葉集の中で「親子の愛」に関わる歌は、数としては多くないものの、時代の家族観と映し出す重要な存在といえます。
新羅や唐に派遣された子の無事の帰還を一途に祈る母。出先で高級な果物を口にし、子どもにも食べさせたいと思う父。万葉集に残る親から子へ愛情は、時代を超えて心に響く普遍的なテーマであり、歌は、現代社会を生きる我々に、人と人との揺るぎない絆とその価値を訴えかけてきます。
一方で、親から子への愛とその裏返しである父母に対する敬愛の情と子の孝行の念は、家族の秩序や道徳を保つ柱として、社会制度において重要視された側面もあり、それを主題とする歌からは、古代人の信仰のみならず、当時の社会制度やそれに基づく倫理観をもうかがい知ることができます。
単なる歴史の記録ではなく、秩序だった思想書でもなく、人間のストレートな感情や当時の社会状況を当時の日常言語によって記録した十世紀以前の文学が、世界にどれほど残っているでしょう。そうした意味においても、万葉集は今なお力強い輝きを放ち、一定の価値を有する文学作品といえます。
生の価値観が大きく揺らぐ現代社会において、歴史や文学を学び、いまここに生きる私以外の視点から俯瞰的に社会全体を眺めて他者理解を深め、思いやりの心を見失わないよう努力する。そうした貴重な時間を、現存最古の和歌文学作品の読解を通して、皆様と共に持つことができましたら大変うれしく存じます。
【9月16日(火)に「特別講座」の開催を予定しております】
<https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1024549.html?shishaId=1001>
*写真1枚目:『元暦校本萬葉集(複製)』
『万葉集』に親しむ
▼ 講座のポイント

奈良時代の文学ですので、原文はすべて漢字で書かれています。漢字仮名交じり文や現代語訳と照らし合わせながら読むことで、古代日本語の表現を深く理解することができます。

万葉集の歌は、源氏物語など後世の文学にも、引用されています。平安以降の文学のより深い理解にも役立ちます。

元号「令和」の典拠となった漢文は、万葉集の巻五に収められています。「令」は「良い」、「和」は「やわらかな」の意。有意義でわかりやすい解説を目指します。
『万葉集』は、奈良時代に編纂された日本最古の歌集であり、約4500首におよぶ和歌が収められています。その多様性は圧倒的で、天皇から都の官人、東国の人や遊行婦人など、身分を超えたさまざまな人々の心情が和歌の形式によって記されています。
この講座では、後代の勅撰集では焦点化されることのない「親子の愛」をテーマとする歌を読解しながら、万葉集の特徴や当時の社会制度について学びます。
万葉集の中で「親子の愛」に関わる歌は、数としては多くないものの、時代の家族観と映し出す重要な存在といえます。
新羅や唐に派遣された子の無事の帰還を一途に祈る母。出先で高級な果物を口にし、子どもにも食べさせたいと思う父。万葉集に残る親から子へ愛情は、時代を超えて心に響く普遍的なテーマであり、歌は、現代社会を生きる我々に、人と人との揺るぎない絆とその価値を訴えかけてきます。
一方で、親から子への愛とその裏返しである父母に対する敬愛の情と子の孝行の念は、家族の秩序や道徳を保つ柱として、社会制度において重要視された側面もあり、それを主題とする歌からは、古代人の信仰のみならず、当時の社会制度やそれに基づく倫理観をもうかがい知ることができます。
単なる歴史の記録ではなく、秩序だった思想書でもなく、人間のストレートな感情や当時の社会状況を当時の日常言語によって記録した十世紀以前の文学が、世界にどれほど残っているでしょう。そうした意味においても、万葉集は今なお力強い輝きを放ち、一定の価値を有する文学作品といえます。
生の価値観が大きく揺らぐ現代社会において、歴史や文学を学び、いまここに生きる私以外の視点から俯瞰的に社会全体を眺めて他者理解を深め、思いやりの心を見失わないよう努力する。そうした貴重な時間を、現存最古の和歌文学作品の読解を通して、皆様と共に持つことができましたら大変うれしく存じます。
【9月16日(火)に「特別講座」の開催を予定しております】
<https://cul.7cn.co.jp/programs/program_1024549.html?shishaId=1001>
*写真1枚目:『元暦校本萬葉集(複製)』